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温羅伝説鬼ノ城 巨石巡り



  7.夜毎13年間も唸り続ける温羅の首。妻「阿曽媛」の祈りで。(鳴釜神事)

 
 

 話を温羅と吉備津彦の追走劇にもどします。命は民衆への見せしめとして、温羅の首をはね、それをさらしました。(岡山市首村はその遺跡) しかし不思議なことに、その首は何年経っても大声を発して鳴り響いて止みません。民衆はこれを見て、みな嘆き悲しみました。温羅の首はまるでその声に応えるかのように唸り続けました。命は部下の犬飼武(いぬかいたける)に命じて犬にそれを食わせましたが、それでも肉が尽き、ドクロになってもなお吼え止みませんでした。その姿に脅威を感じた命は、吉備津神社御釜殿のかまどの下に埋葬します。それでも温羅は13年間、唸り続け命を悩ませました。
 
 ある夜、温羅が命の夢枕に立って言うには「わが妻、阿曽媛に命の釜殿の神饌(みけ)を炊(かし)がしめよ。もし世の中に事あればかまどの前に参りたまえ。幸あらばゆたかに鳴り、わざわいあらば荒らかに鳴ろう。命は世を捨てて後は霊神と現れたまえ。われは一の使者となって四民に賞罰を加えん。」と。命がお告げ通りにしたところ、温羅の唸りは収まり、釜占いが始まりました 。