背景切り替え

温羅伝説鬼ノ城 巨石巡り



   5.鯉となって逃げる温羅を鵜となって追う吉備津彦。<鯉喰神社>

 
 うら伝説05

 そんな時、命はふっと一計を思いつきます。一度に二本の矢を射ればどうだろう、と。一本はこれまで通り、空中で岩とぶつかり合いますが、もう一本が温羅の左目に命中し、温羅の目からしたたり落ちる血潮は血吸川まで流れて行きます。
 
 左目に傷を負った温羅は雉に姿を変えて山中に隠れようとしますが、命は鷹になって追います。温羅は鯉に化け血吸川に入り逃げようとしましたが、命はたちまち鵜となって、これを噛み揚げ、ついに温羅を捕らえることに成功しました。その地が現在、鯉喰神社として残っています。



  6.吉備津神社、大回廊の甍の下に眠る温羅物語の終焉(クライマックス)。


 

 古くから「備中一ノ宮」とよばれ、天災や災害が重なり政治も乱れ関東の平将門、瀬戸内の藤原純友の乱が起こると朝廷は全国の十三の大社に幣を献じて鎮定を祈願させましたが吉備津神社もその内の一社でした。その後乱が治まった天慶三年(940)にはその功により一品という最高の神階を授かっています。これ以降明治まで「一品吉備津宮」と人々に呼ばれて篤く崇敬を受けています。(吉備津神社縁起より)
 
 桃太郎伝説に登場する桃太郎は大和朝廷から派遣された将軍=吉備津彦、鬼は「温羅」と呼ばれる百済の王族です。吉備津神社は吉備津彦を祭神として祀ると同時に、温羅と吉備津彦の戦いの最後の舞台でもあるのです。この大回廊から分かれる御釜殿がその舞台です。
 
←前のページへ      次のページへ→