備中神楽

(国指定重要無形民俗文化財)

備中神楽は備中地方に伝わる神楽です。荒神様を招き、その前で演じることから、荒神神楽とも呼ばれていました。荒神様は、民俗信仰の神様で、恐ろしい神ではありますが、家や部落、農耕などに使用する牛馬の守り神として祭られてきました。荒神様の魂を安らげ、五穀豊穣と、家内安全を祈るために行なわれたものですが、江戸時代末期になって、国学者の西林国橋が、『日本書紀』や『古事記』の神話をもとに、「大国主命の国譲り」など芸能的要素の強い神代神楽をつくり、これが人々の人気を呼んだことから、備中神楽の中心的な舞となりました。

備中地域では昭和40年代まで、毎年秋祭りなどに神社や祭りの当番となった家で一晩中神楽が催され、地域に深く根ざしたものでしたが、今では町おこしやお祭りのイベントなどでみられるのみです。
また、昭和54年(1979年)に国指定重要無形民俗文化財に指定されています。

備中神楽には、猿田彦命の舞・両神の舞・大国主命の舞・事代主命の舞・櫛稲田姫の舞 ・須佐之男命の舞・松尾明神の舞・大蛇退治などがあります。