種子十三仏(穴観音)

しゅじじゅうさんぶつ(あなかんのん)

 種子とは、密教で仏・菩薩(ぼさつ)などの諸尊や事項を象徴的に表す梵字(ぼんじ)のことです。
 十三仏とは、室町時代に成立した信仰で、初七日から三十三回忌までの13回の追悼供養にあたる仏や菩薩などのことをいいます。ここでは、古墳時代後期に造られた穴観音1号墳の横穴式石室を利用し、奥壁に向かって左側の壁の一石に、この十三仏が蓮華(れんげ)座の上に梵字で刻まれています。
 また、蓮華座中央にある花弁の中心に「周観」という名前を刻み、その左右に「文明十一天」と「己亥」という年号が書かれています。損傷や摩滅もなく、当時のままの丁寧で精巧な線刻を残しています。
 このほか、穴観音1号墳の石室内には、弁財天や毘沙門天などの石刻画もみられます。

文明十一天: 「天」は「年」の異字で、1479年にあたります。

種子十三仏(穴観音)

名称
種子十三仏(穴観音)
所在地
総社市奥坂
指定区分
市指定 石造美術
時代
室町時代

指定年月
平成11(1999)年4月28日
管理者
穴観音保存会
形式・構造など
握り飯形の花こう岩
大きさ・寸法
高さ約118cm、幅約130cm