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広報そうじゃ 2008年09号 特集

 特集 地域の防災力を高める−自主防災組織を作ろう!−

9月1日は防災の日

●消火栓の使用訓練(写真)
 山手地区では、住民による初期消火ができるようにと、消火栓のそばにホースとノズル、開栓用のコックを備えている。写真は、7月13日、西郡地区で行われた消火栓の使用訓練の様子。参加者の一人、阿部和子さん(西郡)は「ホースのつなぎ方やバルブの開け方、放水時の水圧など、基本をきちんと知る良い機会でした」と、話してくれた。


何の数字でしょうか?
12.8%

答 総社市の自主防災組織の組織率
(今年1月現在)
県内平均は45.9%

 この数字は今年の『広報そうじゃ』3月号でも紹介した数字です。
 自主防災組織とは、町内会や自治会などの単位で作られ、日ごろは、防災知識の啓発や防災訓練などに取り組み、大地震や洪水などの大規模な災害時には、避難の誘導や負傷者の救出・救護、炊き出しなどを行なう組織です。
 組織率は、加入している世帯数の割合。昨年4月時点での自主防災組織の組織率は、全国平均が69.9%、岡山県内の平均が45.9%。総社市は、平成20年4月現在で13.4%です。現在、組織作りを進めている地域もあり、その割合は大きくなる予定ですが、県内で低い状況には変わりありません。
 左ページの地図のとおり、山手地区ではほぼ全域で組織されています。組織数では約90団体にのぼりますが、人口の多い地域では、まだまだ少数であることが分かります。
 大規模な災害時に、行政や消防、警察といった機関が、どこまで迅速な対応ができるかは分かりません。また、その活動にも限界があります。避難や救助活動が一刻を争うときに、住民同士が連携・協力し合って、地域の被害を最小限に抑える自主防災組織の活動が求められています。
 最近では中国の四川大地震や岩手・宮城内陸地震、岩手北部地震で大きな被害が報道されていました。岡山県でも近い将来、東南海・南海地震で最大震度6弱の発生が懸念されています。地震だけでなく、近年は豪雨の回数も増え、水害も同様に懸念されています。
 ここでは、すでに活動中の組織や、今立ち上げようとしている地区の人の声を紹介します。「自分の地域は、自分たちで守る」といった意識をもち、自主防災組織の必要性に関心をもってください。






■自主防災組織が最も必要とされるとき
災害の発生から3日間!!

災害から皆さんの生命を守る基本となるものに、「自助」「共助」「公助」の3つがあります。
 「自助」は、自分の身は自ら守ること。「公助」は、行政や消防、警察などが守ること。そして、「共助」が、地域の連携で地域を守る自主防災組織のことです。この3つが連携することで、地域の防災力が高まります。
 「大規模な災害が発生してから3日間が、自主防災組織が最も必要なとき」。防災担当の松尾一夫総務課長は自主防災組織の役割を、公的機関の救助活動が十分でない被災直後に、地域の被害を最小限に抑えることだと言います。ある程度予測が可能な洪水より、突然発生する大地震のとき、特にその必要性が増します。


共助

主体は、自主防災組織です。
地域の安全は、地域で守ろうと、地域の連帯感を基に、地域のみんながお互いに、助け合って守ることです。

自主防災組織の役割
 平常時には、右の写真にある地震を仮想体験できるDVDや地震・洪水のハザードマップなどを使っての防災知識の習得や、防災用の資材の整備、初期消火訓練といった災害に備える活動に取り組みましょう。
 災害時には、人命を守り、被害の拡大を防ぐ活動をします。救出活動や避難誘導、初期消火活動、情報の収集や伝達、応急手当などを、地域のみんなで力を合わせて行います。

 上から順に、地震・津波仮想体験DVD(市総務課で貸し出し)、地震ハザードマップ、洪水ハザードマップ


自助

平常時から、一人ひとりが、防災への意識を高めましょう。
正しい知識を身に付け、自分の身の安全は、自分で守ることが大切です。

非常持出品の用意
 避難するとき、最初に持ち出すものです。被災地に救援物資が届くまでに最大3日かかるといわれています。現金や通帳などの貴重品、携帯ラジオ、非常食や水、懐中電灯、応急医薬品など、家族の人数分だけ用意し、すぐ取り出せる場所に保管しておきましょう。

自主的な避難
 危険を感じたら、自主的に避難しましょう。また、地震のときに備え、けがをしないために、家具の固定や置き方を工夫しておきましょう。

非常持出品の一例

増水した高梁川(平成18年7月)



公助

市や県をはじめ、公的な機関は、市民の生命や財産を守るため、防災対策の推進に努めています。
災害時には、皆さんの安全を守ることに努めます。

災害を想定し訓練
 市や消防などでは、高梁川の増水を想定した水防訓練をはじめ、大地震を想定した防災訓練などを実施しています。これらは、いざというときに的確な対応ができるようにするためのものです。

水防の連絡会議
 毎年、総社市や倉敷市、備中県民局、国土交通省など高梁川流域の関係機関が出席して開かれます。会議では、これらの機関が連携して行動するために、災害時の対応の仕方や情報の伝達ルートなど、さまざまな事項について確認をします。


水防訓練
 消防団や消防、警察などが参加して行われる

 平成18年7月の水害時に、排水ポンプ車を使って
排水作業中。
(写真:国土交通省岡山河川事務所提供)


総務課(自主防災組織担当)
竹内主幹

 PR冊子を読むと、こんなことまでと思う人がいるかも知れません。書かれていることはいずれも大切なことです。そのなかでも、土台を固めるため、人と人とのつながりの強化を第一にやってほしいと思います。
 また、自治組織活性化補助金(最高5万円)を積極的に使って、防災のことを考えてほしいと思います。



 やってます 私たちの自主防災組織
市内で活動中の自主防災組織を紹介します。
組織づくりの参考にしてください。



恵まれた土地柄で、危機感がない
自分のこととして、とらえてほしい
小寺南1組町内会

小寺南1組町内会は55世帯が加入している自主防災組織です。平成19年4月から活動を始めています。
 市の補助金を利用して、水に濡れても音の出る笛や、血液型や連絡先を書ける首掛け式の救急カード、担架といった必要な防災用品もそろえました。また、町内の住民情報の収集も行い、要援護者の把握や、市の洪水ハザードマップを使って話し合った全員集会も開きました。
 「総社は、大きな災害の経験が少なく、恵まれた土地柄で、危機感がないと思います。しかし、いつ災害に遭うか分かりません。自分のこととしてとらえてほしいと思っているんです」。会長の吉富勝さん(小寺)は、日ごろから防災意識をもつことが大切だと強調します。また、「防災に対し、町内で同じ意識を高いレベルでもてるようになれれば」とも。そのため、リーダーからの押し付けでは、理解度も上がらないので、集会では問題提起をし、討議をする方法を採用しています。
 町内で長年続いているイベントを通じて、つながりを深めている小寺南1組町内会の皆さん。吉富さんは、このことをこう表現します。「自主防災組織は、人と人とのつながりが大前提です」。

 7月17日、備中県民局で自主防災組織をテーマに開かれた協働推進会議で小寺南1組町内会の取り組みを発表する吉冨勝さん

笛と救急カード
 笛は、所在を知らせるためのもので、水に濡れても音が出る。全戸に配布した。救急カードは、万一のときに必要な血液型やかかりつけの病院、連絡先などの情報が書き込める



防災連絡網や資材を整備
防災への道ができた
上原地区会

 上原地区会は平成19年6月、町内会活動のなかに防災の取り組みを加えました。
 きっかけは、町内会の電話番号簿のリニューアル。市の補助金も使い、防災情報を加えた冊子「上原地区防災連絡網」の作成と、災害時の初期消火に使う消火器4本を町内に設置しました。冊子には町内82世帯の住宅地図に加え、この消火器や消火栓のある場所も示されています。
 町内会長を務める渡辺聡さん(上原)は、「防犯や道・溝そうじなどの活動と防災活動につながりをもたせながらしています」と言い、自然な形で防災意識を町内に浸透させるよう意欲的な工夫をしています。
 万一のときの連絡体制も、町内会の組織を基本に、会長や区長などそれぞれの役割が決まりました。「幸いにも被災した経験がなく、ゼロからの出発でしたが、市の補助金を利用し、いくつかの必要な資材もそろいました」。渡辺さんは、防災の取り組みに道ができたと言います。

 市の補助金を使って、町内に配置した消火器について話す渡辺聡さん

上原地区防災連絡網の冊子
 必要な情報を簡潔にまとめている



防災の資材や情報をどう共有し活用するか
横のつながりが大切
中須加町内会

市街地に近い中須加地区。ここに、185世帯による自主防災組織が発足したのは、平成19年2月でした。
 「火事、地震、風水害に備え、初動をきちんとやろうと言って始めました」。会長の杉生了亮さん(門田)はきっかけをこう話します。組織の発足後は、消火訓練や防災の啓発活動に取り組み、ハンドマイクや消火器などの資材の購入もしました。
 啓発活動は、多くの人が集まる地区の運動会や清掃日に実施。運動会では、知っておいてほしい防災知識をクイズにして、楽しみながら学べるよう工夫をしています。
 「でも、まだまだです」。役員の一人、荒木弘一さん(門田)は、もっともっと各自に防災を自覚してもらうことが当面の課題と言います。さらに、「ハンドマイクや消火器を、災害時にすぐ使えるようにするためにはどう保管するか、把握した援助の必要な人の情報を、どう共有し管理するか」とも。横のつながりがもっと深まれば、こうした課題も解決するのではと、他の役員も口をそろえます。

 自主防災組織について話す中須加町内会の杉生了亮会長(右から2人目)や、荒木弘一さん(右から3人目)ら役員の皆さん



自主防災組織を立ち上げてみよう

 自主防災組織をどのようにして立ち上げるか。市では、人と人とのつながりがある既存の町内会や自治会などを母体として、組織する方法をおすすめしています。

町内会が母体組織化しやすい
市内最大規模の組織ができるまで
秦地区自治会連合会

 秦地区では今年7月、約2年の月日を経て、630世帯で構成される自主防災組織を立ち上げ、市に届け出ました。
 地域の介護予防や高齢者の見守りを協議する小地域ケア会議で話題になったことがきっかけ。この会に所属していた糸島信夫さん(秦)が、この話を4人の区長や各種団体の代表にしたところ、「いいことだ」と話はまとまり、組織の母体は秦地区自治会連合会となりました。
 組織作りは、区長や秦分館長らが中心になって進められました。市の防災担当の総務課と話し合いをしながら、平成18年10月、連合会の規約に防災活動が追加されました。
 自主防災組織の運営に必要な、事業内容や役員構成、経費などの規則もまとめました。さらに、避難誘導や救助、炊き出しなどの役割を4地区それぞれで、各種団体に振り分ける組織もできました。
 秦下の区長を務める片岡裕平さんは、「当然作るもの。地域の実情に詳しい自分たちがやらなければと思った。理解できるものを作ることで、みんなに納得してもらえた」と力を込めて話してくれました。
 組織固めをしながら、70歳以上の高齢者430人のかかりつけ医と介護認定、連絡先の把握や、非常食づくり講習会をすでに実施しています。
 組織でき、「地区内に、みんなでやっていこうという気運が高まっている」と、立ち上げに携わった人たちは話します。

 今年4月23日、自主防災組織の発足に向け、地区内の各種団体の代表や学校関係者らが秦分館に集まった。ここでは、総務課職員による自主防災組織の必要性や役割についての話もあり、地域の防災力が高まる組織を作ろうと話し合いが行われた

 7月23日、糸島信夫さん(右端)や片岡裕平さん(右から2人目)ら役員は、購入する防災用資材について打ち合わせ中



万一に備え、自主防災組織を作ろう
 「危機感がない」。
取材でよく聞かれた言葉です。災害が少なく、恵まれた土地柄ゆえのことだと思います。
 この特集で紹介した各組織の皆さんは、それでもと考え、取り組んでいます。いずれも町内会などを母体に組織づくりに成功しています。
 自主防災組織があると、災害時に市からの情報がスムーズに伝達できます。また、防災資材の購入資金の補助を受けることもできます。5万円を限度に補助していますので、購入する前に、総務課で相談してください。手続きの方法をお知らせます。
 7月に公表された総務部長マニフェストには、自主防災組織の組織率の向上が掲げられています。特に、市街地で組織されることが望まれています。
 自主防災組織は、上の図の手順で立ち上げることができます。組織づくりで不明な点についても、総務課に相談してください。お手伝いやアドバイスをします。
 「目に見える数字で向上するといいですが、向う三軒両隣的な、人と人との横の関係ができるといいですね」と、松尾総務課長。数字には表れない連携が市内全体で増えることも期待していると言います。

「自主防災組織」や「自治組織活性化補助金」の
お尋ねは、総務課(電話92-8218)へ

組織を作り、情報と認識の共有を

岡山県立大学デザイン学部
熊澤貴之講師

 災害を軽減するためには、「自助、共助、公助」が重要で、この3つの力が連携することが必要です。この連携の骨組みになるのが、自主防災組織です。その意味で、自主防災組織を作ることは意義があります。被災直後に最も力を発揮するのが自主防災組織。すでに人のつながりがある町内会や自治会などを素地にすると、組織づくりはしやすいです。会合などで話題にしてみましょう。
 組織ができたら、3つの骨組みを少しずつ始めてみましょう。1つ目は、危険な個所や一人暮らしの人の把握など防災情報の共有。2つ目は、安否確認や避難誘導などの役割分担を決めておくこと。3つ目は、道具や食料の備蓄とともに、日ごろから、その使い方や運用方法を理解し、みんなが共有できるよう訓練をすること。いずれも町内会や自治会などの会合に組み込むと取り組みやすいと思います。
 しかし、災害の様子を実感することはむずかしいので、疑似体験をし、シミュレーション訓練をすることをお勧めします。
 被災直後、時間は待ってくれませんので、力を合わせ、瞬時に対応することが特に必要です。組織内で防災の認識を共感できるよう日ごろから備えておきましょう。

熊沢貴之講師:地域都市計画を研究。三輪地区に防災公園として建設される常盤公園の整備事業に参画。今年1月から3月まで、その骨格となるデザインを話し合うワークショップの内容を企画した。





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