トップページ > 市政 > 広報紙 > 広報そうじゃ > 広報そうじゃ 2005年9月号

サイト内検索


関連ページ
 
特集 温羅からの贈り物 鬼 その1
特集 温羅からの贈り物 鬼 その2
市政トピックス その1
市政トピックス その2
輝いている人
まちの話題
国体情報/健康アドバイス/総社のまち/市長室から
お知らせのページ その1
お知らせのページ その2
お知らせのページ その3
お知らせのページ その4
読者のページ
人権
地産地食

市政
広報そうじゃ

 特集 温羅からの贈り物 鬼 その2

鬼のすみかは美しい里山
温羅が残したもの それは城だけではない
清らかな水と豊かな緑に育まれた良質の自然
守らなければならない
鬼のすみかは美しい里山

 備中国分寺や作山古墳一帯を「南の吉備路」と位置付け、鬼城山とその周辺一帯は「北の吉備路」と呼ばれ、吉備史跡県立自然公園に指定されている。この一帯は、吉備高原の南縁に位置し、気候や地理的条件が県中部に類似。このため、多種多様な植生や動物相が見られる上に、絶滅が危惧(きぐ)されている貴重な種が存在する。先月6日、ここに総社北小学校区の児童と保護者約50人が訪れ、自然観察を行った。
 「北の吉備路環境調査報告書」(平成15年)によると、シダ類以上の高等植物992種、昆虫類1475種がここで確認されている。その中には、少なからぬ絶滅危惧種も含まれ、改めてこの地域の生態系が良好な状態であることが明らかになった。例えば、これまでに総社市内で採集された高等植物が1281種(岡山大学資源生物科学研究所などに収蔵されている標本数)であることを考え合わせると、この域内だけで約77%も占めることになる。また、この地域から64種のトンボ類も確認されており、この数は県全体の約7割に当たる。これらの事実はこの地域が豊かな自然環境に恵まれている証と言えるだろう。
 自然は、生命生存の基盤で地球上の全ての生命が共有する貴重な財産。人間は、自然に働きかけ、高度な文明を築き上げてきた。しかし、自然から、空気や水、食料や燃料、衣類の原料、さらには潤いや安らぎなど、生きるために必要な恩恵を様々に受けている。自然なくしては、人間の生存はあり得ないこのような背景を考えれば、北の吉備路に見られるような豊かな自然環境を今後もしっかりと守っていく必要がある。
 里地・里山の風景を残すこの一帯は、昔から薪拾い、茸(たけ)狩り、炭焼き、あるいは、水田耕作や畑作など、人が自然に溶け込み、維持管理を行ってきた。つまり、生活と調和した豊かな自然環境が守られてきた場所だ。しかし、この地域にも過疎・高齢化の波が押し寄せるのと同時に生活様式の変化など、山と人との結びつきが弱くなっている。山が荒廃することによって生態系のバランスが崩れると、多様な動植物に影響を与えかねない。また、マニアなどによる希少な動植物の採取も自然保護に逆行する行為として見逃すことができない。
 北の吉備路自然環境調査員を務めた脇本浩さんに自然保護について伺った。「この前の親子自然観察会で、実物のヤモリを前にお子さんよりも若い親御さんの方が興味津々でした。今の時代、大人も子供も忙し過ぎると思います。昔と比べれば自然と触れ合う余裕も減り、植物や昆虫に興味があっても、素早くインターネットなどで調べられるようになりましたからね。知識だけで、少ないんですかね実体験が。理屈抜きに自然へ飛び込んで欲しいですね。花を見て、嗅ぎ、虫に触る。五感をいっぱいに使ってね。それらの体験によって、やがて、自然の美しさや不思議さに気付くようになるでしょう。自然ってなんてすばらしいだろうって。こう感じられれば、自然に無頓着(むとんちゃく)ではいられなくなるでしょうから」。
 自然豊かな北の吉備路は、日本の里地・里山の縮図と言えるかもしれない。鬼城山ビジターセンター駐車場北側にある「北の吉備路学習見本園」というビオトープには、ハッチョウトンボが飛び交い、美しい草花が季節を彩っている。ここはいわば北の吉備路の縮図。どんな生き物が迎えてくれるのか、一度訪ねてみてはいかがだろうか。

ゲンカイツツジ
ゲンカイツツジ

鬼は人々を導き慕われた

温羅が大切したもの 阿曽姫と吉備の国
その思いは時代を超えて私たちの心をつかむ
そしてその心は繋がり合い広がっていく
いにしえの吉備の国をも超えて

林修さん鬼ノ城たたら倶楽部代表

遊びながら楽しいなと思えることが長続きの秘けつ
この地域の日本最古のたたら跡「千引カナクロ谷遺跡」をもとに古代たたら製鉄づくりを再現しています。また、鉄作りには酒が付き物と「鬼鉄」という酒も造っています。たたらとは、土を団子状にして、焼きしめ固めて築いた炉の中へ砂鉄と木炭を交互に投入し、下から風を送り燃やすことで炉の底に鉄の塊を造るという日本古来の製鉄技法。他では、耐火煉瓦製の炉でやってる所もありますが、うちは、そういうものは使わず全部土。こだわってます。やはり、自分たちで材料を集めて自らの手で作る喜びがあります。これはモノづくりの原点ですね。炉の中から真っ赤な玉鋼が出たときは、みんな子供のような目をしますよ。感動があります。昔、地元ではこういうことをしていたことをまず知ってもらいたいです。そして吉備文化に興味をもつ人が次第に増え、さらに地域を掘り起こし発信し、交流していきたいです。将来的には、自家製の玉鋼を使った風鈴や文鎮など阿曽の特産品ができたらうれしいですね。

三宅誠一さん市民劇団温羅代表

芝居を通じて、人創り・まち創りをめざす
吉備の民から見た温羅は悪役ではなくて、吉備の里に技術や文化をもたらした長であってほしいと思います。温羅の名を借り、芝居を通じて総社に創造思考の場を提供したいですね。劇団立ち上げ当時、いじめなどの閉塞的な社会的背景もあって、地元・人・自然を愛するメッセ−ジを伝えたかったんです。命、愛とか気恥ずかしい言葉を使いますが、人間としての原点というか大事なものと思います。芝居の魅力のひとつは、舞台で演じ、大勢の共感や感動を得て、自分の存在意義を実感できることです。舞台を支える裏方もそれは同じ。存在価値を感じることができる場所は、家庭、職場以外にも多いほど幸福なことと思います。これを実感することで、生きることへの自信や勇気につながってきます。また、今の社会の中に問題点は多々あると思いますから、そうした問題点を芝居のテーマに取り上げて、どんどん発信していきたいと思っています。そして、芝居で何かを感じてもらい、皆さんに生活する上で支えになる提案やエネルギーのようなものを感じてもらえたら幸いです。

塩尻司さん備中温羅太鼓代表

打ち手の伝えようとする総社の心を感じて欲しい
昭和50年、地元の盆踊りを盛り上げようと太鼓をたたき、これがきっかけで、翌年、青年有志6人で「雪舟たる太鼓」を結成しました。発足当時は太鼓もなく、みかん箱を太鼓に見立てての練習が続きました。また、練習場所も鬼ノ城のふもとの天井河原(現在の砂川公園)など、民家から離れた山の中などでした。昭和52年に吉備の国を治めた温羅を敬い、名称を現在の「備中温羅太鼓」に改称。郷土に根ざした文化を確立し、地方にも良いものがあるということを全国に発信し、地域の人に愛されたい一心でやってきました。だから総社を起点としたコンサートしか行いません。備中温羅太鼓も結成以来、四半世紀を過ぎました。文化や伝統というものは、何十年何百年とかかって培われるものです。5年や10年やったのでは何も生まれません。技に磨きをかけつつ長く活動していきたいと思っています。5万人のステージも経験してきましたが、打ち手と踊り手が一体になれる地区の盆踊りがやっぱり好きですね。

輝きを放て吉備の宝
輝きを放て吉備の宝
 温羅の妻の阿曽姫が巫女(みこ)をしていたと地元に言い伝えが残る阿宗神社(奥坂地区)。先月4日、ここで「阿曽の火祭り」が行われた。夕暮れ時、約500本のろうそくの灯りで境内や参道は厳かな雰囲気に包まれた。温羅や阿曽姫、従者に扮(ふん)した地元住民を大勢の観客が見守る中、神事、オカリナ演奏、朗読劇などで、畿内(きない)勢力から鬼とされた温羅の魂をしずめた。
 この祭りを企画した林正実さんに、この祭りを始めた思いについて伺った。「転勤族の私は、全国のいろいろな祭りを見てきました。賑(にぎ)やかな祭りは、祭りが終わると翌週には来年の祭りの打ち合わせが始まります。高齢者から子供まで集まり、それぞれの年代がそれぞれの役割をもって自分達の祭りに向けて始動します。一年を通じて地域が祭りを中心に動くので、交流が密になるのが祭りの効能。盆や正月さえ里へ帰らない2男3男が祭りの日には帰ってきます。この「阿曽」という地域にとって、火は特別な意味をもちます。「阿曽」は、古くは火の山・阿蘇山の「阿蘇」と書いていました。古代から中世以降もたたら操業が盛んだったこの地域の夜は、たくさんの金屋の操業する火が空を焦がしていたはず。この火祭りをきっかけに、地域がもっと一体化すればと思います。その交流が地域外にも波及すれば何よりですね」。
 この日、温羅役を務めた板谷伸介さんは「地元に温羅がいたかもしれないと思うとうれしくなります」と少々興奮気味。阿曽姫役の中田めぐみさんは、「この地区にはこんな良いものがあることをPRしていきたいです」と張り切っていた。行事に参加して、2人の中で何かが変わったようだ。

 古代吉備王国の中心地だった総社。たぐいまれな文化財や自然、歴史が残る一帯と言える。ここ総社の至るところには、貴重な宝物が眠っているはず。これらは、もしかすると古(いにしえ)の温羅からの贈り物かもしれない。まず、私たちの住む地域をもう一度見つめ直してみるのも良いかもしれない。その地域のかけがえのない宝を掘り起こし学び、守り育て、個性を確立すること。それを共有することで一体感が醸成され、誇りとなり、地域の魅力となるはずだ。そして、その魅力を次代へ引き継ぐことが何より肝心。取材中、横田武夫さんが「わしゃあ、あの世で温羅に会うたら『お前さんのために、わしゃあようしたったで』と言うたるんじゃ」という何気ない一言。横田さんだからこそ言える重みのある言葉だった。

 

お問い合わせ:企画課

ページ先頭へアクセシビリティ使用条件Copyright c 2005 soja city. all rights reserved